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開発事例

開発事例

再生可能エネルギ駆動型湖水環境モニタリングシステムの開発

猪苗代湖

福島県猪苗代湖は古くからの酸性湖であり、何度も水質日本一を記録するほど清涼な湖でした。しかし、2010年前後から急速に汚濁が進み、数年で中性湖となっただけでなく、国の水質基準を超える大腸菌群数が記録されるまでになりました。
水質改善のためには、汚濁の原因となる湖水の富栄養化のメカニズムの解明が急務です。解明に向けてフィールドワークによる水質計測が行われておりますが、フィールドワークで得られる計測情報は時間的・空間的に不連続であるため、汚濁解明には不十分であると言われています。

そこで弊社は日本大学工学部サステナブル・システムズ・デザイン研究室(以下S.S.D.Lab)様と共同で、再生可能エネルギ駆動型湖水環境モニタリングシステムの開発を進めております。本システムは浮遊型環境計測ブイNOMADと湖水情報集積サーバ、湖水情報閲覧システムから構成されます。再生可能エネルギで駆動する複数の計測ブイを湖沼に浮かべ、多点同時に継続的に水質を計測し、サーバに集約します。サーバにて湖沼全体の流れや水質の分布を推定し、閲覧システムにより湖水研究の専門家へ提示することで、汚濁メカニズムの解明を加速することをねらいます。

弊社では今年度、計測ブイ内部に搭載する計測システムを開発いたしました。本システムはGPS位置情報、各種水温センサ情報を取得し、3G回線によりサーバへと送信可能です。計測ブイの筐体、サーバおよび閲覧システムについてはS.S.D.Lab様にて開発済でしたが、サーバと閲覧システムの改修も弊社にて実施いたしました。

図1:システムの概要図

図1:システムの概要図


製作したシステムを用いて2018年10月に福島県猪苗代湖にて、表層流の推定実験を実施いたしました。本実験では複数の計測ブイを湖に浮かべ、GPS位置情報に基づき湖の表層の流れを推定可能か検証いたしました。
実験結果は図2の通りとなりました。図中の点はブイの位置を、矢印は風向きを示しています。湖の表層の流向と流速は主に風により決まることが分かっており、図2にてブイの移動経路と風向きが一致していることから、湖の表層の流れを推定できていると言えます。

弊社では来年度以降も湖沼の汚濁メカニズムの解明に寄与するべく、開発を進めて参ります。

計測ブイ 放流の様子
計測ブイ 放流の様子
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計測ブイ 空撮
計測ブイ 空撮
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図2:実験結果

図2:実験結果